「M字はげ」は多くの男性が経験する薄毛のパターンで、放っておくとどんどん後退が進む可能性が高いです。
M字はげの治療法には、飲み薬・塗り薬による薬物療法と外科的治療法があり、栄養改善や
頭皮マッサージなど、自分でできる薄毛ケアもよくメディアで紹介されます。一方で、「M字はげになったらもう手遅れで、治らない」という意見を述べる人もいます。
この記事では、「M字はげをなんとかしたい」「生え際の後退を止めたい」という方に向けて、M字はげの症状・原因を解説し、それに基づいて本当に効果的な治し方を紹介します。
M字はげとは?症状や診断基準について
まずは、M字はげの症状や進行パターン、診断基準についてまとめます。セルフチェックでAGAでないのにAGAだと勘違いしてしまうケースも少なくないため、診断基準についてはかなりくわしく紹介します。
- M字はげとは「前髪の生え際の両端が後退した状態」のこと
- AGAは軽いM字はげから始まることが多い
- M字はげの進行パターンM字はげは40代以降に多いが、若い人(10代や20代)でも発症することがある
- M字はげかどうか判定する基準
- もともと生え際の形がM字気味の人は「勘違い」の可能性あり
M字はげとは「前髪の生え際の両端が後退した状態」のこと
M字はげは男性の典型的なはげ方のひとつです。前髪(前頭部)の生え際が徐々に薄くなって後退していきますが、おでこの中央よりも両端のほうが進み方が速いので、生え際がアルファベットの「M」のような形になります。
おでこの両端が同じスピードで後退するとは限らず、どちらか一方が多少先に進行して左右非対称になるケースも多いです。
AGAは軽いM字はげから始まることが多い
男性のAGAは前頭部から始まり、まずはおでこの端が少し後退して、軽いM字はげになることが多いです。M字はげは徐々に進行し、生え際の切り込みが深くなっていきますが、進み方は個人差が大きく、頭頂部(つむじ周辺)の薄毛が先に進行する方もいます。
AGA以外の脱毛症(円形脱毛症や甲状腺機能異常・頭皮炎症・栄養失調による脱毛症など)は、はげ方がAGAとはかなり異なります。一時的にM字はげのような状態になることはありえますが、M字のまま生え際が後退していくという進行パターンにはなりません。
M字はげの進行パターン
AGAの薄毛は主に前頭部と頭頂部で進行します。ほとんどの人がまず前頭部の生え際から薄くなり始めますが、その後は主に以下の3パターンに分かれます。

- M字を保ったまま生え際が後退していくパターン(M型)
- 生え際の中央部も薄くなり、「U」の字を逆さにしたような形で後退していくパターン(U型)
- 頭頂部中心に進行し、つむじ周辺から円盤状に薄毛が広がっていくパターン(O型)
M型・U型の場合、頭頂部の進行はおだやかですが、やがては多かれ少なかれ頭頂部も薄くなるのが通例です。O型の場合も、ゆっくりと前頭部が後退していきます。
最終的にどこまで薄毛が進むかは人それぞれです。最悪の場合、前頭部から頭頂部にかけて全体的にほとんど毛がない状態になります。
M字はげは40代以降に多いが、若い人(10代や20代)でも発症することがある
M字はげを初めとするAGAの症状は、40代以降に顕著になるケースが多いです。日本人男性のAGA発症頻度は、20代で約10%、30代で20%、40代で30%、50代以降で40数%とされており、20代でも発症する例がまれではありません。なかには10代で発症する方もいます。
参考:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年度版)|日本皮膚科学会
M字はげかどうか判断する基準
AGAによるM字はげかどうかは、以下の2点で診断されます。
- おでこの生え際が後退または軟毛化しているか
- これまでの脱毛の経過や病歴、家族歴(血縁者にAGAの人がいるどうかなど)
生え際の位置や形は個人差があるので、もともとの生え際から後退しているかどうかが重要です。かなり進行したケースでは現状だけ見て判断することも可能ですが、微妙なケースでは脱毛の経過や昔の写真などの情報が重要な手がかりとなります。現状だけ見てセルフチェックすると、AGAでないのにAGAだと勘違いしてしまう可能性があります。
また、AGAでは髪が急にごっそりと抜け落ちるのではなく、徐々に育ちにくくなって軟毛化していく(細く短い毛しか育たなくなっていく)ので、生え際周辺が軟毛化しているかどうかもチェックします。
AGA以外の脱毛症も疑われる場合、家族歴が重要な判断材料となります(AGAは遺伝の影響が大きいため)。
ネット上では以下のような基準が紹介されることがありますが、おでこの広さなどは個人差が大きいので、これだけでは判断できません。
- 眉毛の上から生え際までの幅が指4本分以上あるとAGA→おでこの広さや指の太さは人それぞれなので判断不能
- おでこの一番上のシワから生え際までが指2本分以上あるとAGA→シワができる位置や指の太さは人それぞれなので判断不能
以下の基準もよく紹介されますが、本来これは「AGAかどうか」の基準ではなく「AGAの進行度」を測る基準です。
- 左右の耳の穴と頭の天辺を結ぶようにしてひもを巻き付ける(天辺は通常つむじよりも少し前)。もし、おでこの生え際の上端がひものラインの近辺(2~3cm以内)まで達していたら、AGA→実際にはある程度進行したAGAの可能性が高い
もともと生え際の形がM字気味の人は「勘違い」の可能性あり
もともと生え際がM字のような形になっている方が、何かのきっかけで生え際を気にするようになり、自分はM字はげだと勘違いしてしまうことがあります。
以下のような方によく見られます。
- 生え際の中央が水平でなく、おでこのほうに少し突き出ている人(いわゆる「富士額」の人)
- こめかみ周辺の生え際が、まっすぐ上や斜め前ではなく、斜め後ろに向かっている人(おでこが広めの人に多い)
こうした方はAGAでなくても生え際がM字気味なので、生え際のラインの現状だけ見て判断すると誤解しやすいです。「以前よりも生え際が後退してM字が深くなった」「生え際が軟毛化した」という場合はAGAかもしれませんが、そうでなければ勘違いの可能性が高いでしょう。
M字はげの原因
ここでは、M字はげの発症原因をまとめます。原因を知ることで、どんな対策が効果的か理解できるようになります。
- M字はげなどのAGAは、主に男性ホルモンと5α還元酵素の作用で発症
- AGAの発症しやすさ・進みやすさは主に遺伝で決まる
- M字はげ男性の前頭部頭皮は遺伝的に男性ホルモンの影響を受けやすい
- 栄養不足や心身のストレスもAGAの発症・進行を早める可能性がある
M字はげなどのAGAは、主に男性ホルモンと5α還元酵素の作用で発症

AGAは男性ホルモンなどの作用により頭髪の毛包が萎縮することで発症します。毛は毛包という組織から生えてきますが、毛包が萎縮すると毛が育ちにくくなり、生え替わりも遅くなって、薄毛が進行します。
毛包の細胞には男性ホルモンと結合する受容体(じゅようたい)が存在します。頭髪の毛包にある受容体とテストステロン(男性ホルモンの一種)が結合すると、毛包を萎縮させる反応が引き起こされます。
通常のテストステロンは受容体にあまり結合しませんが、5α還元酵素の働きでDHT(ジヒドロテストステロン)に変化すると、受容体に強く結合するようになり、AGAの主な発症原因となります。
- テストステロン+5α還元酵素→DHT→男性ホルモン受容体に結合→毛包が萎縮→薄毛進行
体毛では逆に、DHTは毛包の活性化と毛の成長・増加をもたらします。頭髪が薄くても体毛は濃いという男性が少なくありませんが、これは頭髪と体毛で正反対の反応が起こるためです。
AGAの発症しやすさ・進みやすさは主に遺伝で決まる
AGAの遺伝率は80%程度と言われており、発症しやすさや進行のスピードは主に遺伝で決まります。遺伝的体質がベースとなり、加齢によるホルモンバランスの変化や身体の老化などの影響が加わって、AGAが発症・進行します。
なかでもとくに大きな影響を持つとされているのが、毛包にある男性ホルモン受容体の遺伝子です。遺伝子は人によって少しずつ違い、男性ホルモン受容体がたくさん作られるタイプの遺伝子を持つ人は、頭皮がDHTの影響を受けやすく、AGAを発症しやすいとされています。
他にも、AGAに関係すると思われる遺伝子がいろいろと見つかっています。
参考:Androgenetic Alopecia in Men: An Update On Genetics|Indian Journal of Dermatology
M字はげ男性の前頭部頭皮は遺伝的に男性ホルモンの影響を受けやすい
AGAでは主に前頭部と頭頂部で薄毛が進行します。遺伝的にとくに前頭部の頭皮が男性ホルモンや5α還元酵素の影響を受けやすい場合はM型AGA(M字はげ)になり、頭頂部のほうが影響を受けやすい場合はO型AGAになると考えられます。
栄養不足や心身のストレスもAGAの発症・進行を早める可能性がある
栄養不足やストレスだけでAGAが発症することはないと考えられますが、遺伝的にAGAを発症しやすい方の場合、栄養不足やストレスが発症や進行を早める可能性はあります。
ビタミンD、ビタミンB、亜鉛、鉄、銅、セレンなどの栄養素が、AGAに関係するとされています。また、心身のストレスが続くと体内で活性酸素による障害が起こりやすくなり、AGAの発症・進行にも影響します。
なお、栄養が極端に不足したり、外科手術や大病などで身体が大きなストレスを受けたりすると、それだけで頭髪の脱毛が生じることがありますが、これは「休止期脱毛症」の一種で、AGAとは異なります。AGAでは前頭部・頭頂部で徐々に薄毛が進行しますが、休止期脱毛症では部位に関係なく比較的急激に脱毛が発生します。
M字はげは治る?治らない?
「M字はげになったらもう手遅れで、治らない」という悲観的な意見が聞かれることも少なくありませんが、実際には着実な治療手段が存在します。ただし、治療効果には個人差があり、AGAの進行度によっては効き目が限定されたり、有効な手段が限られたりすることがあります。
- M字はげは遺伝の影響が大きいため、自力で治すことは困難
- 内服薬・外用薬や外科治療によりM字はげを改善することは可能
- 食生活改善・サプリ摂取・ストレス解消はAGA治療の補助としては有効
- 薄毛が進行してしまうと治療薬が効きにくく、「手遅れ」となる可能性も
M字はげは遺伝の影響が大きいため、自力で治すことは困難
M字はげは遺伝的な体質がベースとなって発症するため、生活習慣改善や頭皮マッサージなどの自力ケア(医療以外の方法)では、十分に改善することができません。
多種多様な育毛剤が市販されていますが、これらのほとんどが医学的には効果が不明です。
毛を増やしたり、太くしたり、AGAの進行を抑えたりする効果は、ほぼ期待できないと思ったほうがよいでしょう。
高濃度(0.75%)のアデノシンを配合した育毛剤は、AGA治療薬のミノキシジルと同等の効き目があるとされています。しかし、実際に市販されているアデノシン配合育毛剤はほとんどが濃度不明で、それほど高い濃度ではないと推測されます(もし0.75%配合ならそう明記するはずです)。
内服薬・外用薬や外科治療によりM字はげを改善することは可能
AGAの最も標準的な治療法は、内服薬・外用薬による薬物療法です。医学的に治療効果が確認された薬が3種類存在し、広く用いられています。

| 治療薬の名称 | 使用方法 | 効果・効能 |
|---|---|---|
| フィナステリド | 内服(飲み薬) | AGAの進行を予防・抑制 軟毛化した毛が回復する(太くしっかりした毛に戻る)場合もあり |
| デュタステリド | 内服(飲み薬) | フィナステリドと同様の作用を持ち、効果が高め |
| ミノキシジル | 内服(飲み薬) 外用(塗り薬) | 毛の成長を促進休止・休眠中の毛包に発毛を促す |
これらの治療薬により、薄毛の進行を抑えたり薄毛の症状を改善したりすることができますが、AGAの原因そのもの(男性ホルモン受容体や関連遺伝子など)を修正することはできません。したがって、症状を抑制・改善するためには治療をずっと継続していく必要があります。将来的には、遺伝子治療による根本的な治療が可能になるかもしれません。
外科的治療法には、自毛植毛、レーザー照射、メソセラピーがあります。
各治療法について後ほどくわしく解説します。
食生活改善・サプリ摂取・ストレス解消はAGA治療の補助としては有効
AGAの主な原因は遺伝で、栄養不足やストレスは補助的な要因になるだけです。したがって、食生活改善やサプリ摂取、ストレス解消だけでAGAを治すことはできませんが、薬や施術によるAGA治療と並行してこれらを行えば、治療効果を高めることができるでしょう。
薄毛が進行してしまうと治療薬が効きにくく、「手遅れ」となる可能性も
AGA治療薬は早期に開始するほどよい結果が期待できます。薄毛が大幅に進行してしまうと、治療薬でそれ以上の進行は遅らせることができるかもしれませんが、薄毛の改善(毛を増やしたり太くしたりする効果)はあまり期待できません。
AGAが進行して薬が効きにくくなった場合でも、自毛植毛という手段があります。自分の後頭部や側頭部から頭皮を採取して薄毛部位に移植する手術です。ただし、採取できる頭皮には限りがあるため、薄毛が広範囲にわたっていると十分にカバーできないことがあります。
AGA治療はできるだけ早めに取りかかるのが得策です。
M字はげの治し方|内服薬・外用薬による治療法
AGA治療は内服薬・外用薬による薬物療法から始めるのが一般的です。治療薬の効果や使用上の注意点、入手方法についてまとめます。
- フィナステリド/デュタステリドの内服|5α還元酵素の作用を抑える
- ミノキシジルの内服・外用|毛の源に直接働きかけ、発毛と毛の成長を促進
- 治療薬は早期に開始したほうがより多くの改善・回復を期待できる
- 治療薬の併用で効果を高めることが可能
- 「治療薬が効かない」「使用後に薄毛が悪化した」と感じた場合の対処法
- 治療薬の入手方法|市販・対面診療・オンライン診療・個人輸入代行の比較
フィナステリド/デュタステリドの内服|5α還元酵素の作用を抑える
フィナステリドとデュタステリドは、5α還元酵素の働きを抑える治療薬です。
フィナステリドやデュタステリドを服用すると、テストステロンからDHTへの変化が起こりにくくなり、これ以上の毛包萎縮と薄毛進行を抑制できます。
毛包が活力を取り戻し、AGAで軟毛化していた毛が再びしっかりした太い毛に戻る場合もあります。
AGAの要因となる5α還元酵素にはⅠ型とⅡ型があり、フィナステリドはⅡ型のみ、デュタステリドは両方の型に効きます。したがって、デュタステリドのほうが効き目が高い傾向があります。
ミノキシジルの内服・外用|毛の源に直接働きかけ、発毛と毛の成長を促進
ミノキシジルには、2つの効果が期待できます。
- 発毛効果:毛の生え替わりを促進し、休止・休眠中の毛包からの発毛を促す
- 育毛効果:毛の成長を促進し、AGAで軟毛化した毛を太い毛に戻す
内服薬(ミノキシジルタブレット、ミノタブ)と外用薬(塗りミノ)があり、同様の効果を持ちます。国内で承認されているのは、外用薬(男性向け濃度1%・5%、女性向け濃度1%)だけです。クリニックでは海外製の内服薬(1錠2.5mg〜5mg程度)や高濃度(15%程度)の外用薬も扱っているところがあります。
ミノキシジルの使用初期(10日〜2ヶ月くらいの間)に、まとまった脱毛が生じることがあります(初期脱毛)。それまで停滞していた毛の生え替わりがミノキシジルで加速されることにより生じる現象です。一時的なもので、自然に治まるので、心配は不要です。
治療薬は早期に開始したほうがより多くの改善・回復を期待できる
一般的に、AGA治療薬は進行度が軽いうちに使用を開始した方がよい結果が期待できます。
日本人男性523名が10年にわたってフィナステリドを服用し続けた結果を追跡した研究では、以下のような傾向が見られました(進行度は下記「ハミルトン・ノーウッド分類」によるもの)。
- 進行度が軽い段階で服用を開始した人ほど薄毛の改善度が高い
- どの進行度の人も、最初の1年の改善幅が最も大きい
- 進行度Ⅰで開始した人は、10年にわたって改善傾向が続いた
- 進行度Ⅱ~Ⅲで開始した人は、最初の5年ほど改善傾向が続き、その後はほぼ横ばい
- 進行度Ⅳで開始した人は、最初の2年ほど改善傾向が続き、その後は若干悪化
- 進行度Ⅴ~Ⅵで開始した人は、最初の1年は改善したが、その後は少しずつ悪化
参考:Long-term (10-year) efficacy of finasteride in 523 Japanese men with androgenetic alopecia|OAT
■ハミルトン・ノーウッド分類の概要
| 進行度 (ステージ) | 状態 |
|---|---|
| Ⅰ | おでこの生え際がほんの少し後退 |
| Ⅱ | 生え際が後退してM字型になる(耳の穴~頭頂のラインの2cm以内にまで生え際が達していない) |
| Ⅲ | 生え際がさらに後退し、M字の切れ込みが深くなる(耳の穴~頭頂のラインの2cm以内に生え際が達する) U字はげに近づく人や、頭頂部も薄くなり始める人もいる |
| Ⅳ | 生え際が耳の穴~頭頂のラインを越えるU字はげになる人や、頭頂部の薄毛が目立ってくる人もいる |
| Ⅴ | 前頭部・頭頂部の両方で薄毛が目立つ |
| Ⅵ | 前頭部から頭頂部にかけてさらに薄毛が進行(前頭部と頭頂部の薄毛の境目はかろうじて残っている) |
| Ⅶ | 前頭部と頭頂部の薄毛がつながり、全体的に薄毛が進行 |
参考:Classification of Male-pattern Hair Loss|National Library of Medicine
治療薬の併用で効果を高めることが可能
フィナステリド・デュタステリドとミノキシジルは併用が可能です。フィナステリドまたはデュタステリドだけでも薄毛の改善は可能ですが、十分に改善できないケースも少なくありません。ミノキシジルを併用すれば、さらなる改善が望めます。
市販のAGA治療薬はミノキシジル外用薬だけなので、ミノキシジルのみで治療しようとする方も多いかもしれません。しかし、ミノキシジルにはAGAの進行を抑える作用はないので、ミノキシジルだけで治療しようとすると、ミノキシジルの効果がDHTによる毛包萎縮作用と相殺されてしまい、なかなか効き目が実感できないケースが多いです。
フィナステリドまたはデュタステリドをベースにしてミノキシジルを追加するのが、AGAの標準的なAGA治療法となっています。
ミノキシジルの内服薬と外用薬も併用可能で、内と外から毛包に働きかけることにより、発毛・育毛効果を高めることができます。
「治療薬が効かない」「使用後に薄毛が悪化した」と感じた場合の対処法
治療薬の効果が実感できない場合や、かえって薄毛が悪化したと感じた場合は、以下の点をチェックしたうえで医師に相談してください。
- 毎日きちんと使用しているか:
- たまに1日忘れるだけならあまり影響がないが、何日も連続して忘れたり、不規則な服用を繰り返したりすると、効果が出にくい
- 使用期間は十分か:
- 効果を実感するまでに、フィナステリド・デュタステリドは最低6ヶ月程度、ミノキシジルは最低4ヶ月程度は継続が必要
- 初期脱毛ではないか:
- ミノキシジルで脱毛が増えた場合、使用開始後数ヶ月以内なら初期脱毛の可能性が高く、じきに治まると予想される
- 医療機関で処方された薬か:
- 個人輸入代行サイトで入手した場合、偽造薬の可能性がある
- 一種類の薬や低用量の薬を使用している場合:
- 併用や用量増加により効果が現れる可能性がある
- AGAの脱毛パターンと違う点がないか:
- 急激な脱毛は「休止期脱毛症」、頭髪全体や眉毛・体毛が薄くなるのは「甲状腺機能障害による脱毛症」、部分的にごっそり毛が抜けてツルツルの地肌が露出しているなら「円形脱毛症」の可能性あり
治療薬の入手方法|市販・対面診療・オンライン診療・個人輸入代行の比較
AGA治療薬の入手先は、「市販薬を扱うお店」「対面診療クリニック」「オンライン診療クリニック」「個人輸入代行サイト」の4つです。それぞれの特徴をまとめ、どんな人におすすめか解説します。
ドラッグストア店頭やAmazonなどの市販サイト|ミノキシジル外用薬を手軽に入手したい方に
ドラッグストア店頭や市販薬を使う通販サイトでは、国内承認済みのミノキシジル外用薬が
入手できます。ただし、第1類医薬品なので、薬剤師がいない曜日・時間帯には買えません。Amazonなど、薬剤師が常駐している通販サイトではいつでも購入できます。
AGA初期の方は、とりあえず市販薬のミノキシジルだけ買って治療を始めてみるのもよいでしょう。治療を継続する意思が固まったら、できるだけ早期に医療機関を受診して、フィナステリドやデュタステリドも入手してください。
対面診療クリニック|各種検査や外科治療にも対応し、料金は高め
AGA専門クリニックや美容系クリニック、一般皮膚科などでAGA治療薬を扱っています。
対面診療のクリニックでは国内承認済み治療薬しか扱っていない場合が多く、料金は高めです。
対面診療では内服薬の処方前に血液検査を行うのが通例です。肝機能障害がある方は血液検査が必須なので、オンライン診療より対面診療のクリニックを選んだほうがよいでしょう。
マイクロスコープ(拡大鏡)を用いた検査や外科治療を行っているところもあるので、興味のある方は検討してみてください。
オンライン診療クリニック|コスパ・安全性・利便性が高く、幅広い方におすすめ
オンライン診療はビデオ通話で診察を受け、薬を自宅などに配送してもらうサービスです。自宅などでスキマ時間に受診でき、他の患者と顔を合わせることなく薬が入手できます。
海外製治療薬も扱っており、対面診療クリニックより料金がかなり安い場合が多いです。とくに、1年ごとの一括購入・定期配送プランだと非常にお得に薬を入手できます。
海外製治療薬は国内第三者機関での成分鑑定などを実施して安全性を確保しているので、安心して利用できます。
オンライン診療は価格と安全性・利便性のバランスがよく、幅広い方におすすめです。
個人輸入代行サイト|価格は安いが偽造薬や通関トラブルの問題がありおすすめできない
個人輸入代行サイトは、海外製治療薬の「発注作業と代金受け渡し」を代行するサービスです。薬は注文後に海外から利用者の自宅宛に発送され、届くまでに通常1週間〜2週間かかります。一度に1ヶ月分以上の薬を輸入しようとすると税関で止められ、面倒な手続きが必要になる場合があります。
料金はかなり安いですが、偽造薬が混じっている可能性があります。偽造薬を入手してしまうと、治療の遅れや健康被害につながります。
偽造薬などで被害を受けても輸入代行業者は何も対応してくれません(海外業者との直接交渉が必要)。
個人輸入代行サイトはリスクが高すぎるのでおすすめできません。
M字はげの治し方|外科的治療法
ここでは、メスや医療機器を用いて行う外科的治療法をまとめます。治療薬の内服・外用では十分に効果が得られない方などに検討をおすすめします。
- 自毛植毛|薄毛になりにくい部位の頭皮を薄毛部位に移植
- LED/低出力レーザー|照射により毛包幹細胞を活性化
- フラクショナルレーザー|頭皮の新生と発毛を促進
- メソセラピー|治療薬や成長因子を頭皮に注入
自毛植毛|薄毛になりにくい部位の頭皮を薄毛部位に移植
AGAでは後頭部や側頭部は薄くなりにくく、最後まで残ることが多いです。自毛植毛では、主に後頭部から自分の頭皮を採取して小さく「株分け」し、薄毛部位に移植します。
自分の頭皮を移植するので、移植手術の「拒絶反応」が起こりにくく、頭皮の細胞が生きて定着する割合が多いです。人工毛を使った植毛術もありますが、定着率が悪く、副作用のリスクも大きいので、おすすめできません。
AGA中期~後期(ハミルトン・ノーウッド分類のⅣ以降など)で、治療薬が効きにくい方でも、自毛植毛なら薄毛改善が望めます。
料金は移植する量(本数・株数)で変わり、広範囲の薄毛部位をカバーするにはかなり高額の費用がかかります。十分な量の頭皮を採取するのが難しい場合もあります。
LED/低出力レーザー|照射により毛包幹細胞を活性化
専用機器を用いてLED光や低出力のレーザーを照射し、毛包幹細胞を活性化して髪の成長を促進します。
アメリカではかなり普及しており、FDA(アメリカ食品医薬品局)に認証された家庭向けレーザー治療器も多数販売されています。ブラシ型、ヘアバンド型、キャップ型などの製品があり、照射時間・頻度は製品によりさまざまです(1回に90秒〜30分程度、週数回〜1日1回程度)。
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」で推奨されている治療法のひとつですが、日本メーカーの製品はまだほとんどなく、今後の普及が期待されます。FDA認証済みの製品がネット通販で輸入販売されています(価格は7万円〜30万円程度)。
フラクショナルレーザー|頭皮の新生と発毛を促進
レーザーを照射して頭皮表面に微細な傷を与え、傷の修復と頭皮の再生を促します。再生した頭皮では毛包の活力が回復し、薄毛の改善が期待できます。LED/低出力レーザーと違い、医師による施術が必要です。
アメリカなどで普及しており、FDA認証済みレーザー治療器も存在します。日本ではいくつかのクリニックでFDA認証済みレーザー治療器「Folix」による治療が行われています。
メソセラピー|治療薬や成長因子を頭皮に注入
ミノキシジルなどの治療薬や細胞増殖を促す成長因子を頭皮に注入します。注射針で注入する方法と注射針を使わない方法(加圧噴射式など)があります。
メソセラピーはまだ発展途上の治療法で、効果的な薬剤の組み合わせ方や安全性に関する知見が確立しておらず、重大な副作用が生じた例も報告されています。
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」では、成長因子を用いたメソセラピーについて、「今後が期待される治療法だが、現時点では行わないほうがよい」と評価しています。
費用もかなり高額です。施術を受ける前に、メリットとリスク、コストについて慎重に比較検討する必要があります。
M字はげに関してよくある質問
最後に、M字はげやAGA全般に関してよくある質問を取り上げて解説します。
- M字はげの前兆(初期症状)は?
- 生え際の産毛が伸びないのはM字はげ(AGA)ですか?
- 射精しすぎると薄毛になりますか?(禁欲で薄毛は改善しますか?)
- 女性もM字はげになりますか?
まとめ|早めに受診して薬による治療を開始しましょう
M字はげなどのAGAは遺伝的な要因が大きいので、自力で治すことはできません。AGA治療には内服薬・外用薬による薬物療法と外科治療があり、まずは薬物療法から始めるのが一般的です。
ミノキシジル外用薬は市販でも購入できますが、ミノキシジルだけでは十分に回復しないケースが多いです。AGAの進行を抑える効果を持つフィナステリドやデュタステリドをベースにして、必要や希望に応じてミノキシジルを追加するのが標準的な治療法となっています。
治療薬は進行度が軽いうちに始めたほうがよい結果が期待できるので、早めに医療機関を受診して治療を開始しましょう。肝機能障害などの特別な事情がなければ、コスパ・安全性・利便性の高いオンライン診療で薬を入手するのがおすすめです。


