
健診の用紙を受け取ったら、最初に整理したいこと
学校歯科健診で「歯並び」に印がつき、相談を勧める用紙を持ち帰る。前歯が生え替わる時期の保護者の方から、よく受けるご相談です。一期治療と二期治療は、成長のどの段階で何を見るかが異なります。指摘を受けても、すぐに治療開始と決まるわけではありません。ここでは、それぞれの目的と時期、経過観察の考え方、受診時に確かめたい検査・通院・費用を順に整理します。
この記事の要点まとめ
- 学校健診で歯並びを指摘されても、すぐに治療開始とは限らず、生え替わりや噛み合わせ、顎の成長を診て方針を考えます。
- 一期治療は混合歯列期に顎や永久歯の場所を考え、二期治療は永久歯がそろった後に歯並びを整えます。二期へ進まない場合もあります。
- 症状によって早めの相談や経過観察が検討されます。受診時は検査内容、通院間隔、費用や二期治療への移行条件を確認しましょう。
小児矯正の一期治療・二期治療は、歯の生え替わりで役割が変わる

一期治療は、乳歯と永久歯が混ざる時期(混合歯列期)に顎のバランスや永久歯の生える場所を考える段階です。二期治療は、永久歯が生えそろった後に歯の位置と噛み合わせを整える段階にあたります。どちらも、年齢だけでなく生え替わりの進み方を見て時期を考えます。
学校健診の指摘だけで治療開始は決まらない
学校歯科健診の指摘は、相談のきっかけと受け止めてください。歯科医院では、前歯の生え替わり、噛み合わせ、永久歯がどこから生えてくるかを診査したうえで方針を考えます。
歯の重なり(叢生)が気になる場合は、生え替わりの状況を歯科医師にご相談ください。
一期治療は顎の成長と永久歯の場所を考える段階
上顎前突に関する研究では、7〜11歳頃に始める二段階の早期治療と、12〜16歳頃に始める治療が検討されています1。顎の成長を踏まえて上下の顎のバランスや噛み合わせを確認し、拡大床などの装置を使って永久歯が並ぶ場所を考えます。
ただし、どの装置を使うか、将来の抜歯を避けられるかは症状によって異なり、一律には言えません23。
二期治療は永久歯の位置と噛み合わせを整える段階
二期治療は、永久歯の生え方などを見て、歯の位置を細かく整える段階です。始める時期は歯科医師が判断します。治療後は保定装置(歯並びを保つための装置)を使い、歯が元の位置へ戻ろうとする動きに備えます。
一期治療を受けたお子さま全員が、二期治療へ進むわけではありません。永久歯の並び方を見てから判断します2。
ポイント
一期は顎の土台づくり、二期は歯並びの仕上げ。どちらが必要かは、生え替わりと顎の成長を診て決まります。
今始めるか、経過を見守るかは何で判断する?
判断の軸は、症状の種類と、成長を待つことで対応が難しくなるかどうかです。一度の見た目だけでは決めにくいため、診査結果と成長の経過をあわせて考えます。
反対咬合や左右にずれた噛み合わせは早めに相談
受け口(反対咬合)や、奥歯が左右にずれて噛む交叉咬合、顎の左右差は、早めに診査を受けたい例です。上顎前方牽引装置などを使った早期治療では短期的な変化が報告されていますが、長期的な利益を示す十分な根拠はまだありません3。
早く始めれば後の治療が不要になる、とは言い切れません。
前歯の突出や歯が重なる状態は何を確認する?
出っ歯(上顎前突)では、お子さまが転んだときに前歯をぶつけやすいかどうかも確認します。7〜11歳頃に始める二段階の治療で、前歯のケガが少なかったとする報告があります1。
叢生の場合は、永久歯の生えるすき間や、むし歯などで乳歯が早く抜けていないかを見ます2。
経過観察なら、生え替わりのどこを見直す?
今すぐ装置を使わず、成長を待つ選択肢もあります。次回の診査では、主に次の点を見直します。
- 永久歯が生えてくる位置と順番
- 歯の重なりの程度
- 上下の噛み合わせ
- 顎の成長の前後差・左右差
観察の間隔は診断によって変わるため、受診時に確認してください。
一期治療の後、二期治療へ進むかはいつ決める?
一期治療が終わった時点で決め切らず、永久歯が生えそろう頃に改めて評価します。歯並びや噛み合わせに課題が残れば二期治療を検討し、残らなければ一期のみで終えることもあります。
症状によっては、一期を行わずに永久歯がそろってから二期治療で始める方が適する場合もあります21。
戸田市で小児矯正を相談するときに確認したいこと
受診時は「検査」「通院」「費用」の順に尋ねると、治療の見通しが立てやすくなります。健診の用紙を持参し、今の状態と今後の選択肢を並べて説明を受けると、見通しを整理しやすくなります。当院を含む医療機関への相談では、お子さまの気持ちが追い付かないうちに無理に治療を進めないかも確認するとよいでしょう。
どの検査で顎と永久歯の状態を確かめる?
顎の骨格の分析にはセファロ(頭部の規格レントゲン)、歯並びの記録には口腔内スキャナーなどが用いられます。当院を含め、実際にどの検査を用いるかは、医療機関ごとの診査内容やお子さまの状態によって異なります。
結果から一期治療・経過観察・二期治療から始めるのどれが考えられるのか、理由まで説明を受けてください。
治療中と経過観察中の通院間隔はどう違う?
一期治療では装置の調整のための受診があり、期間や受診間隔は歯科医師が判断します。経過観察中は生え替わりの状況に合わせて受診します。二期治療では装置を使う期間に加え、その後も保定装置の確認のための通院が続きます。期間や受診回数は、症状や使う装置によって異なります。確認しておきたいのは次の項目です。
- 装置期間と観察期間、それぞれの受診間隔
- 1日の装着時間と家庭での管理方法
- 装置の紛失・破損時の対応
当院までの距離に限らず、通院のしやすさやお迎えの段取りを踏まえて受診日を相談してください。
一期治療の費用と二期治療への移行時に何を聞く?
小児矯正は、多くの場合公的医療保険が適用されない自由診療です。一般的な相場として、一期治療は20万〜60万円程度、二期治療から始める場合は60万〜100万円程度が目安とされ、これとは別に検査・診断料や、受診ごとの調整料(1回あたり数千円程度)がかかる医療機関もあります。これらは一般的な相場であり当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関により異なり、当院の費用は診察のうえでご案内します。
検査・装置・調整・保定・経過観察の費用に何が含まれるか、二期治療へ移る際の費用をどう扱うかを医院に確認してください。装置による痛みや違和感、むし歯や歯ぐきの炎症、治療後の後戻りといったリスクも、同じ場で尋ねておくと判断しやすくなります。健診の用紙と、前歯が抜けた時期のメモを持参すると、相談がスムーズに進みます。
よくある質問
Q1. 一期治療を始めたら、二期治療まで続けることになりますか?
A. そうとは限りません。一期治療の後、永久歯が生えそろう頃に歯並びと噛み合わせを改めて評価し、課題が残る場合に二期治療を検討します21。一期のみで終える場合もあるため、開始前に見通しを確認しておくとよいでしょう。
Q2. 経過観察の間も、頻繁に通院する必要がありますか?
A. 観察の間隔は、お子さまの生え替わりの進み方や症状によって歯科医師が判断します。装置を使う期間と観察期間では通院の目的が異なるため、最初の相談で受診間隔の目安を尋ねてください。
Q3. 何歳までに相談すればよいですか?
A. 年齢よりも、生え替わりの状況と症状の種類で考えます。受け口や左右にずれた噛み合わせは、成長との関係を含めて早めに診査を受けたい例とされています3。健診で指摘された時点で、一度相談しておくと判断材料がそろいます。
Q4. 相談のときに持っていくとよいものはありますか?
A. 学校から受け取った健診の用紙と、乳歯が抜けた時期や気になる癖(指しゃぶり、口が開いているなど)のメモがあると、診査の参考になります。
参考文献
1. Batista KB, Thiruvenkatachari B, Harrison JE, et al. Orthodontic treatment for prominent upper front teeth (Class II malocclusion) in children and adolescents. The Cochrane Database of Systematic Reviews. 2018. PMID: 29534303 / DOI: 10.1002/14651858.CD003452.pub4
2. Turner S, Harrison JE, Sharif FN, et al. Orthodontic treatment for crowded teeth in children. The Cochrane Database of Systematic Reviews. 2021. PMID: 34970995 / DOI: 10.1002/14651858.CD003453.pub2
3. Woon SC, Thiruvenkatachari B. Early orthodontic treatment for Class III malocclusion: A systematic review and meta-analysis. American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics. 2017. PMID: 28024779 / DOI: 10.1016/j.ajodo.2016.07.017
神奈川歯科大学歯学部 卒業
神奈川歯科大学総合診療科 勤務
臨床研修歯科医 修了
平成15年
神奈川歯科大学顎顔面外科学講座医員
平成16年
国立秋田大学医学部付属病院 歯科・口腔外科医員
平成18年
さいたま市の歯科医院にて医長に就任
平成21年
厚生労働省認定 臨床研修指導歯科医 認定
平成22年
公益社団法人日本口腔インプラント学会認証医 認定
平成23年
さいたま市同歯科医院にてインプラントセンターチーフに就任
日本歯科大学生命歯学部大学院歯学研究科 卒業
歯学博士号取得(甲第九九四号 インプラントの論文で取得)
日本歯科大学生命歯学部非常勤講師
平成24年
だいご歯科クリニック 戸田公園インプラントセンター 開設
公益社団法人日本口腔インプラント学会専門医 認定
平成25年
日本口腔インプラント学会 第4回関東・甲信越支部 学術シンポジウム実行委員
平成26年
日本口腔インプラント学会 第44回学術総大会実行委員 日本口腔インプラント学会専修医 認定
平成30年
日本口腔インプラント学会第9回関東・甲信越支部 学術シンポジウム シンポジスト
令和 2年
NPO法人埼玉インプラント研究会理事 就任
インプラント100時間コース実行委員
東京歯科大学水道橋病院医療連携機関 認定
日本大学歯学部付属病院医療連携施設 認定
令和 5年
インプラントメーカ-ノーベルバイオケア社 プレミアムメンバ- 認定
日本口腔インプラント学会専修医・専門医
国際口腔インプラント学会認定医
厚生労働省認定 臨床研修指導歯科医
NPO法人埼玉インプラント研究会 所属
【所属学会】
日本口腔インプラント学会
国際インプラント学会
NPO法人埼玉インプラント研究会 会員
日本歯周病学会
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