髪が健康に育つためにはさまざまな栄養が必要です。栄養が不足すると、髪質が悪化したり毛が伸びにくくなったりする恐れがあり、脱毛症の原因になるケースもあります。
この記事では、髪の作られ方や必要な栄養素に関する知識をわかりやすくまとめ、とくに関係が深い5つの栄養素については、豊富に含む食材を含有量の多い順に紹介します。
「髪に良い栄養素」と聞くと、「その栄養素さえたっぷりとっていれば髪が健康になる(髪を増やせる)」と考えてしまいがちですが、現実はそれほど単純ではありません。記事の後半では、「髪に良い栄養素」を摂取する際に気をつけるべきポイントをまとめます。薄毛治療との関係や、サプリをどう位置づければよいかについてもあわせて取り上げます。
なお、この記事は男性の薄毛(男性型脱毛症)を主な対象としています。女性にも女性型脱毛症(FAGA/FPHL)がありますが、薬の評価が男性型とは大きく異なるため、この記事では違いに触れるにとどめ、受診の目安は男性を想定して書いています。
そもそも髪は何からできているのか?
- 髪の毛の作られ方と必要な栄養素
- ケラチンを食べても、そのまま髪のケラチンになるわけではない
- 髪が伸びる速さは食べ物で変わるのか?
- 男性型脱毛症(AGA)と女性型脱毛症(FAGA/FPHL)の原因
- その他の主な脱毛症の原因
髪の毛の作られ方や必要になる栄養素、薄毛・脱毛症の原因について知っておくと、髪に良い食生活を送る上で役に立ちます。ここでは、それらに関する基礎知識をわかりやすくまとめます。
髪の毛の作られ方と必要な栄養素
毛は毛穴の中にある毛包(もうほう)という組織で作られます。毛包は髪を作る工場のようなもので、毛包が正常に働いて健康な髪が育つためには、各種のタンパク質や脂質、ミネラル、ビタミンが必要です。

毛の作られ方
毛包は「成長期→退行期→休止期→次の成長期」というサイクル(毛周期)を繰り返しており、毛は成長期に伸び、休止期の終わりに抜けて、新しい毛に生え替わります。
毛は、「死んだ細胞」とタンパク質、脂質などの物質が緊密に組み合わされてできあがります。
- 成長期に毛包の根元で毛母細胞(毛のもとになる細胞)が増殖する
- 増殖した細胞は死んで抜け殻のようになり、その中に繊維状のタンパク質(ケラチン)がぎっしり詰め込まれて、たくさんの「毛の部品」ができる
- 「毛の部品」にメラニン色素が付加され、色が付く(メラニン色素には2種類あり、配合の割合で毛の色が決まる。色素が乏しいと白髪になる)
- タンパク質と脂質でできた細胞膜複合体(毛の部品どうしをつなぎ止める接着剤のような存在)が、たくさんの「毛の部品」をつなぎ合わせ、硬くてしなやかな構造体(毛)を作り上げる
- このようにして毛の根元に新しい毛が継ぎ足され、それに押し上げられるようにして毛全体が上に伸びていく
- 太い毛は三層構造、細い毛やうぶ毛は二層構造で、各層の間を細胞膜複合体がつなぎ止めている
| 毛を構成する3つの層 | 主な成分 | 性質・機能 |
|---|---|---|
| キューティクル(毛小皮) | タンパク質、脂質 | 毛の表面をおおっており、うろこ状の組織が多数重なり合って外界に対するバリアとなり、毛をダメージや乾燥から守り、毛につやを与える |
| コルテックス(毛皮質) | タンパク質(主にケラチン)、メラニン色素 | 毛の大半を占める組織で、毛に強靱さや弾力性、色を与える |
| メデュラ(毛髄質) | タンパク質(主にケラチン)、メラニン色素 | 毛の中心にある中空の組織(ただし細い毛やうぶ毛には存在しない) 機能についてはよくわかっていない(目立った機能はないという説が主流) |
参考:The structure of people’s hair|National Library of Medicine
参考:Human Hair and the Impact of Cosmetic Procedures: A Review on Cleansing and Shape-Modulating Cosmetics|MDPI
毛の成長に必要な栄養素
毛の成長にとくに深く関わる栄養素は下記の通りです。これらの栄養素が不足すると発育不全や髪質悪化につながり、脱毛症の原因となることもあります。
| 栄養素 | 種類 | 髪の毛での働き |
|---|---|---|
| タンパク質 | ケラチン、コラーゲン、エラスチンなど (人体内に非常にたくさんの種類があり、それぞれが特有の機能を果たす) | ケラチンは毛の構造を作り上げる中心的な存在で、毛の成分の大部分をなす 毛包にも、ケラチン・コラーゲン・エラスチンなどのタンパク質を含む器官がある |
| アミノ酸 | 人体では20種類 | タンパク質の構成素材 メラニン色素もアミノ酸から作られる |
| 脂質 | 脂肪酸、セラミドなど (人体内にたくさんの種類があり、それぞれが特有の機能を果たす) | 脂肪酸やセラミドは細胞膜複合体に含まれ、細胞をつなぎ合わせて毛を構造化する働きや、髪の水分・弾力・ツヤを保つ働きをする 脂質は毛穴の中にある皮脂腺からも供給され、頭皮や髪を覆って保護する |
| ミネラル・ビタミン | ミネラル:鉄、亜鉛、マグネシウムなど ビタミン:ビタミンA~E、ビオチン、葉酸など | 生体内で行われる多種多様な化学反応を促進する触媒として働く 髪の毛ではとくに鉄、亜鉛、ビタミンDなどが働く |
ケラチンを食べても、そのまま髪のケラチンになるわけではない
「髪はケラチンでできている」と知ると、ケラチンを含む食品やケラチン配合のサプリを探したくなりますが、食品から摂取したタンパク質などの栄養素は、そのままの形で髪の毛の成分になるわけではありません。
口から摂取した栄養は胃や腸でより小さい物質に分解されてから体内に吸収され、その一部がさまざまな反応を経て毛包にたどり着き、毛の形成に利用されます。体内で作り直される過程を通るため、「ケラチンを食べたぶんだけ髪のケラチンが増える」という関係にはなりません。
材料として意味があるのは、ケラチンそのものではなく、その素材となるアミノ酸を含むタンパク質を過不足なく摂ることのほうです。
髪が伸びる速さは食べ物で変わるのか?
「食べ方を変えれば髪が早く伸びるのか」という疑問もよく見かけますが、食事の内容で伸びる速さが目に見えて変わることを示した根拠は見当たりません。
栄養が足りていない状態から足りている状態に戻れば、毛包の働きが回復して毛が育ちやすくなります。一方、もともと足りている人がさらに上乗せしても、伸びる速さが増すわけではありません。「たくさん摂るほど早く伸びる」という関係にはなっていないので、伸ばしたい目的で特定の栄養素を大量に摂るのは避けてください。
男性型脱毛症(AGA)と女性型脱毛症(FAGA/FPHL)の原因
男性型脱毛症(AGA)と女性型脱毛症(FAGA/FPHL)は、毛包が萎縮して毛が育ちにくくなり、生え替わりが滞る病気です。
世間では「男性型・女性型脱毛症=抜け毛が増える」というイメージが浸透していますが、抜け毛の量はとくに変わりません。実際には、「毛があまり育たないうちに成長が止まり、細くて短い毛しか生えないようになって、薄毛が広がっていく」のが主な症状です(最悪の場合、毛穴の外まで毛が伸びずに「はげた」状態になる)。
男性型・女性型脱毛症の原因は以下の通りです。
| 主な原因 | 補助的な要因 | |
|---|---|---|
| 男性型脱毛症 | 【男性ホルモンのDHT】 頭皮の毛包にある男性ホルモン受容体とDHTが結合し、毛包萎縮の反応が引き起こされる 【遺伝的体質】 男性ホルモン受容体に関する遺伝子などの個人差 【加齢】 加齢とともに、頭皮でDHTを分解する酵素(AKR1Cファミリー)の発現が低下することが報告されている(DHTが分解されにくくなる方向に働く) | 栄養の不足や偏り 心身のストレス 喫煙 飲酒 睡眠不足 |
| 女性型脱毛症 | 【加齢による女性ホルモン(エストロゲン)低下】 更年期や閉経後にエストロゲンが低下し、相対的に男性ホルモンの影響が強まる 【男性ホルモン過剰】 男性ホルモンが通常よりも多すぎるために、体が部分的に男性的な性質を強める (とくに若いうちに発症するケースでよく見られ、体毛・皮脂の増加や毛包炎・ニキビなどを伴うことが多い) 【遺伝的体質】 詳細はわかっていないが、いくつかの遺伝子の個人差が関係しているとされる |
参考:Recent Advances in Understanding of the Etiopathogenesis, Diagnosis, and Management of Hair Loss Diseases|Journal of Clinical Medicine
参考:ヒト頭皮脂腺においてジヒドロテストステロン不活化酵素の発現は加齢に伴い低下する|滋賀医科大学
参考:Lifestyle factors affecting the pathogenesis of androgenetic alopecia: a literature review|Frontiers
女性型・男性型脱毛症は遺伝やホルモン、加齢が主な原因であり、栄養の問題だけで発症することはないと考えられています。遺伝などの原因で薄毛が発症しやすい状態にある場合(またはすでに発症している場合)に、栄養不足が重なると、発症や進行が早まる可能性があります。
特定の栄養素と薄毛の関係は盛んに研究されていますが、あまり明確な結論は出ていません。いくつかの研究では、ビタミンDや鉄、亜鉛が男性型・女性型脱毛症と関係があるとされています。
参考:The Role of Vitamins and Minerals in Hair Loss: A Review|National Library of Medicine
ビオチン(別称ビタミンB7またはビタミンH)は、肌や髪の健康と関係が深いとされますが、脱毛症との関係はよくわかっておらず、ビオチン摂取で薄毛が改善するという証拠は見つかっていません。ビオチンはサプリとしてかなり人気がありますが、ビオチンは人間の体内でも合成されるため、一部の遺伝病や慢性疾患のある方を除き、不足することはまれです。
その他の主な脱毛症の原因
男性型・女性型脱毛症以外で比較的よく見られる脱毛症は以下の2つです。とくに休止期脱毛症(抜け毛が一時的に急増するタイプの脱毛症)では、栄養不足が主要な発症原因になることがあります。
| 症状 | 原因 | |
|---|---|---|
| 休止期脱毛症 | 抜け毛が急激に増え、髪が全体的に薄くなる(右記の原因が発生してから数ヶ月後に発症) | 以下の原因により、髪が成長期から休止期へと急激に移行し、まとまった脱毛が起こる ①重度の身体的ストレス(外科手術・高熱・出産など) ②重度の精神的ストレス ③栄養の欠乏(タンパク質・脂肪酸・亜鉛の欠乏、極度のカロリー不足など) ④全身性疾患(肝不全・腎不全・自己免疫疾患・甲状腺機能異常など) ⑤感染症(HIV・梅毒など) ⑥皮膚炎症(乾癬・脂漏性皮膚炎など) |
| 円形脱毛症 | 免疫システムが病原体などの外敵ではなく毛包組織を攻撃してしまい、その部分の頭髪が急にごっそりと抜ける(円形・楕円形に抜けることが多いが、それ以外の場合もある) | 免疫に関わる遺伝的体質がベースとなる ウイルス感染症やワクチン接種、精神的ストレスなどが引き金になることがある ビタミンDや亜鉛、葉酸の不足も関係している可能性がある |
参考:Telogen Effluvium: A Review of the Literature|National Library of Medicine
参考:円形脱毛症診療ガイドライン 2024|日本皮膚科学会
髪に良い栄養素5選と、多く含む食材(可食部100gあたりの含有量順)
- タンパク質・アミノ酸
- 脂肪酸(とくにオメガ3・オメガ6)
- 鉄
- 亜鉛
- ビタミンD
髪の健康や脱毛症ととくに関係が深い栄養素を5つ取り上げ、それぞれの栄養素を多く含む食材を紹介します。食材の情報は文部科学省の「食品成分データベース(食品成分ランキング)」をもとにしています。
並べる軸は可食部100gあたりの含有量だけで、味や食べやすさ、実際に食べる量は考慮していません。厳密な選定基準を設けているわけではなく、データベースの上位から、食品として名前が通っているものを拾っています。分離大豆たんぱく・乾燥卵白・カゼインのようにそのままでは食卓に上がらない業務用の原料は外し、乾物・珍味・製菓製パン用の材料は残しています。
編集部で7つのランキングを実際に引いてみると、上位はほぼ乾物・粉末・珍味で埋まりました。100gあたりで並べると水分の少ない食品が有利になるため、一度に食べられる量に置き換えると印象がかなり変わります。ランキングは「その食材を大量に食べるべき」という意味ではなく、「その栄養素がどんな種類の食品に多いか」を見るための目安として読んでください。

タンパク質・アミノ酸
タンパク質は髪の毛の大部分を占める物質で、毛包を形づくる要素でもあります。タンパク質はアミノ酸から合成されます。人体に含まれるタンパク質は20種類のアミノ酸を素材としており、髪の毛ではとくにシスチンというアミノ酸が豊富です。
タンパク質の欠乏は休止期脱毛症の原因になります。タンパク質・アミノ酸は、魚介類や肉類、大豆、乳製品などに多く含まれています。
■タンパク質の含有量が多い食材(可食部100gあたり・上位)
| 順位 | 食材 | 100gあたりの含有量 |
|---|---|---|
| 1 | ふかひれ | 83.9g |
| 2 | とびうお(あご)煮干し | 80g |
| 3 | さけ削り節 | 77.4g |
| 4 | かつお節 | 77.1g(削り節75.7g、裸節 71.6g) |
| 5 | たたみいわし | 75.1g |
| 6 | さば節 | 73.9g |
| 7 | とびうお焼き干し | 73.4g |
| 8 | 干しだら | 73.2g |
| 9 | するめ | 69.2g |
| 10 | かたくちいわし田作り | 66.6g |
■シスチン(アミノ酸)の含有量が多い食材(可食部100gあたり・上位)
| 順位 | 食材 | 100gあたりの含有量 |
|---|---|---|
| 1 | 干し数の子 | 1.6g |
| 1 | 小麦タンパク(製パン用など) | 1.6g |
| 3 | 干し貝柱 | 0.94g |
| 4 | 車ふ | 0.88g |
| 5 | たたみいわし | 0.85g |
| 5 | とびうお(あご)煮干し | 0.85g |
| 5 | するめ | 0.85g |
| 8 | 窯焼きふ | 0.84g |
| 9 | さけ削り節 | 0.82g |
| 10 | かつお削り節 | 0.81g |
脂肪酸(とくにオメガ3・オメガ6)
脂肪酸は髪の毛の細胞をつなぎとめる細胞膜複合体に含まれており、強い髪を作るうえで欠かせない物質です。髪の毛以外でも、エネルギー源となったり、さまざまな「膜」の素材となったりして、さまざまな機能を果たしています。
脂肪酸にはたくさんの種類がありますが、「必須脂肪酸」に分類されるオメガ3とオメガ6がその中心です。これらは体内で合成できず、食品から摂取する必要があります。
オメガ3脂肪酸は油類やナッツ・ごま、青魚(とくに皮・脂身・内臓)、オメガ6脂肪酸は油類やナッツ・ごまに多く含まれています。
■オメガ3脂肪酸の含有量が多い食材(可食部100gあたり・上位)
| 順位 | 食材 | 100gあたりの含有量 |
|---|---|---|
| 1 | えごま油 | 58.31g |
| 2 | あまに油 | 56.63g |
| 3 | 乾燥えごま | 23.7g |
| 4 | ローストあまに | 23.5g |
| 5 | 乾燥チアシード | 19.43g |
| 6 | くじら本皮(生) | 11.2g |
| 7 | あん肝(生) | 10g |
| 8 | ローストくるみ | 8.96g |
| 9 | なたね油 | 7.52g |
| 10 | 調合油(サラダ油) | 6.81g |
■オメガ6脂肪酸の含有量が多い食材(可食部100gあたり・上位)
| 順位 | 食材 | 100gあたりの含有量 |
|---|---|---|
| 1 | サフラワー油(ベニバナ油・ハイリノール) | 69.97g |
| 2 | グレープシードオイル | 63.1g |
| 3 | ひまわり油(ハイリノール) | 57.51g |
| 4 | 綿実油 | 53.51g |
| 5 | コーン油 | 50.82g |
| 6 | 大豆油 | 49.67g |
| 7 | ラー油 | 42.75g |
| 8 | ローストくるみ | 41.32g |
| 9 | ごま油 | 40.88g |
| 10 | 調合油(サラダ油) | 34.13g |
鉄
鉄は毛包内で行われる多数の反応(例えば細胞増殖やケラチン合成など)に関わっており、毛の発育を支える物質です。
鉄不足は毛の発育不全や髪質悪化につながり、休止期脱毛症を引き起こすこともあります。男性型・女性型脱毛症の要因になるとする研究もあります。
鉄は男女で扱いが変わる栄養素です。女性はとくに不足に陥りやすい一方、男性はむしろ過剰側に振れやすいため、鉄はサプリで上乗せする対象ではありません。鉄は食事から摂ることを前提にし、サプリで補うのは、血液検査で欠乏が確認されて医師の指示があった場合に限ってください。
鉄はさまざまな食品に少量ずつ含まれています。鉄製調理具で作られる食品(鉄釜炊きのひじきなど)は鉄を多く含みます。
■鉄の含有量が多い食材(可食部100gあたり・上位)
| 順位 | 食材 | 100gあたりの含有量 |
|---|---|---|
| 1 | バジル(パウダー) | 120mg (1mg=0.001g) |
| 2 | タイム(パウダー) | 110mg |
| 3 | 赤こんにゃく | 78mg |
| 4 | 青のり素干し | 77mg |
| 5 | 川のり素干し | 61mg |
| 6 | 乾燥ひじき(鉄釜炊き) | 58mg (ステンレス釜焚きは6.2mg) |
| 7 | セージ(パウダー) | 50mg |
| 8 | 岩のり素干し | 48mg |
| 9 | 乾燥きくらげ | 35mg |
| 10 | あわびの塩辛 | 34mg |
亜鉛
亜鉛は鉄と同様に毛包内で行われる多数の反応に関わっており、健康な髪を作るのに欠かせない物質です。亜鉛不足は毛の発育不全や髪質悪化、休止期脱毛症の原因になります。男性型・女性型脱毛症と関係があるとする研究もあります。
亜鉛は魚介類や肉類、穀物の胚芽の部分などに多く含まれ、とくに牡蠣は亜鉛が豊富なことで知られています。
■亜鉛の含有量が多い食材(可食部100gあたり・上位)
| 順位 | 食材 | 100gあたりの含有量 |
|---|---|---|
| 1 | 牡蠣燻製オイル漬け | 25mg(1mg=0.001g) |
| 2 | 牡蠣水煮(養殖) | 18mg |
| 3 | 小麦胚芽 | 16mg |
| 4 | 生牡蠣(養殖) | 14mg |
| 5 | かつお塩辛 | 12mg |
| 5 | 牡蠣フライ(養殖) | 12mg |
| 7 | パプリカ(パウダー) | 10mg |
| 8 | からすみ | 9.3mg |
| 9 | ビーフジャーキー | 8.8mg |
| 10 | 豚スモークレバー | 8.7mg |
ビタミンD
ビタミンDは毛や皮膚のもとになる細胞の増殖に関わる物質です。ビタミンDの欠乏は毛の発育不全や髪質悪化を招き、円形脱毛症の発症とも関係します。男性型・女性型脱毛症と関係があるとする研究もあります。
ビタミンDは食品から摂取されるだけでなく、日光(紫外線)を浴びた皮膚でも合成されます。日光を浴びる機会が少ない方は、ビタミンDを含む食品を積極的にとるか、サプリで補うとよいでしょう。
ビタミンDは魚介類に多く含まれます。天日干しにした食品(魚の干物や干しキノコ)には、紫外線の作用でビタミンDが豊富に蓄積されます。
■ビタミンDの含有量が多い食材(可食部100gあたり・上位)
| 順位 | 食材 | 100gあたりの含有量 |
|---|---|---|
| 1 | 乾燥あらげきくらげ | 130μg (1μg=0.001mg) |
| 2 | かつお塩辛 | 120μg |
| 3 | あん肝(生) | 110μg |
| 4 | 乾燥きくらげ | 85μg |
| 5 | カワハギ(ウマヅラハギ)味付け干物 | 69μg |
| 6 | しらす干し | 61μg |
| 7 | いかなご煮干し | 54μg |
| 8 | まいわしみりん干し | 53μg |
| 9 | たたみいわし | 50μg |
| 9 | まいわし丸干し | 50μg |
髪に良い食べ物だけで育毛・発毛は可能?美髪にできる?
- 不足していない栄養素を増やしても効果はなく、過剰摂取の危険がある
- 栄養不足は発症・進行のリスク要因になるが、補えば防げるとまでは言えない
- 「髪に良い食べ物だけ」で髪の毛を増やす・太くすることはできない
- 栄養の欠乏が引き金になった抜け毛(休止期脱毛症)では、欠乏の解消が対処の中心になる
- すでに伸びている髪の毛の質(弾力・ツヤなど)を食事で改善することは難しい
- これから伸びる毛の質はある程度食事で改善できる
- 髪に良い栄養素を意識しつつ、総合的にバランスの取れた食事をとることが土台になる
「髪に良い食べ物」というのは誤解を招きやすい表現です。「○○が髪に良い」と聞くと、「○○をたくさん食べれば髪が増える(きれいになる)」と考えがちですが、実際にはそう簡単にはいきません。
ここでは、「髪に良い食べ物」を活用する際の注意点をまとめます。
不足していない栄養素を増やしても効果はなく、過剰摂取の危険がある
髪に必要な栄養素が不足すると髪に問題が生じる可能性がありますが、不足していない栄養素をさらにたくさんとっても、髪に良いことはとくにありません。
筋肉であれば、筋トレしながらタンパク質を通常よりたくさんとれば、肥大させていくことができます。カロリーをとりすぎれば脂肪はどんどん増えます。
髪の毛はそういう仕組みにはなっておらず、栄養を必要以上にたくさん摂取しても、顕著に髪が増えたり速く伸びたりすることはありません。特定の栄養素を摂取しすぎると副作用(過剰症)が発生する危険もあります。
栄養不足は発症・進行のリスク要因になるが、補えば防げるとまでは言えない
「髪に良い栄養素」が不足している状態では、男性型・女性型脱毛症の発症や進行が早まる可能性があります。ただし、不足を解消すれば発症や進行を遅らせられるかどうかは、まだ確かめられていません。
食事と男性型脱毛症の関連を直接調べた研究は、生野菜を週3回以上とる人でAGAが少なかったという症例対照研究などがありますが、これは関連の報告であって、食事で予防できることを示したものではありません。
「髪に良い食べ物だけ」で髪の毛を増やす・太くすることはできない
男性型・女性型脱毛症の主な原因は、「遺伝的な体質」「ホルモンバランス」「加齢」です。栄養の問題だけで発症することはありませんし、栄養を補充しただけで治ることもありません。
食べ物だけで髪の毛を増やしたり太くしたりできると示した研究はなく、期待できる範囲は「足りていない栄養を、足りている状態に戻す」ところまでです。
栄養の欠乏が引き金になった抜け毛(休止期脱毛症)では、欠乏の解消が対処の中心になる
男性型・女性型脱毛症はゆっくりと進行し、数ヶ月程度の短い期間に髪が目に見えて薄くなるようなことはありません。もし急激に抜け毛が増えて、短い期間に髪がどんどん薄くなるようなことがあったら、休止期脱毛症の可能性があります。
休止期脱毛症は男性型・女性型脱毛症とは発症メカニズムがまったく異なり、栄養の欠乏が引き金になることがあります。この場合、不足している栄養を解消することが対処の中心になり、欠乏が続くかぎり同じことが起こりやすい状態が残ります。
すでに伸びている髪の毛の質(弾力・ツヤなど)を食事で改善することは難しい
「毛の作られ方」のところで説明した通り、髪の毛は死んだ細胞でできています。生きた細胞であれば、すぐそばまで毛細血管が通い、血液から供給される養分を使って細胞内でさまざまな反応が起き、細胞が変化したり再生したりしますが、髪の毛ではそうしたことが起こりません。
細胞の内外に存在するケラチンなどの分子も、新たに付け加わったり入れ替わったりすることはありません。
したがって、食事で栄養を改善したとしても、すでに伸びている髪の毛自体の質を変えることはできません(トリートメントなどで外から養分を付加した場合も、毛の表面を別の物質が覆って見た目や手触りをよくするだけです)。
栄養バランスによって皮脂腺から分泌される皮脂の量が変わることはあり得るので、皮脂不足でカサカサ・パサパサになった頭皮や髪であれば、食事で改善することが可能な場合があります。

これから伸びる毛の質はある程度食事で改善できる
栄養不足状態にある毛包に十分な栄養が供給されるようになれば、毛包が活性化して、より健康な髪を作れるようになります。したがって、これから新たに伸びる毛(根元の部分)や生え替わる毛については、食事によって髪質の改善が期待できます。
髪に良い栄養素を意識しつつ、総合的にバランスの取れた食事をとることが土台になる
栄養が全体的に充足していないと、体内で栄養を運んで毛包にたどり着かせるまでのプロセスがうまく働きません。
「髪に良い栄養素」だけ過剰にあっても多すぎる部分は役に立たず、「髪に良い栄養素」ばかり気にして他の栄養素が不足してしまうと、頭皮以外の健康を損ない、ひいては髪の毛にも悪影響が及ぶ恐れがあります。
髪の健康のためには、「髪に良い栄養素」をとくに意識しつつも、「体に良い栄養素」をまんべんなくバランスよく摂取することが重要です。
サプリ(栄養補助食品)はどう位置づければいいか
- 食事とサプリの違いは「吸収のされ方」と「摂りすぎやすさ」
- 不足している栄養素を補うのがサプリ本来の使い方
- 亜鉛サプリをどう考えるか
- 男性と女性ではサプリの選び方が変わる
- ノコギリヤシ・緑茶などの成分は、診療ガイドラインの治療の枠には入っていない
サプリは特定の栄養素を濃縮した食品です。薬品に近いようなイメージで売られているサプリもありますが、サプリは基本的に栄養を補うための食品であり、摂取方法については一般の食品と同じことが当てはまります。
食事とサプリの違いは「吸収のされ方」と「摂りすぎやすさ」
食品に含まれる栄養素は、他のさまざまな成分といっしょに、少しずつ体に入ってきます。一方、サプリは特定の栄養素だけを濃縮しているため、同じ栄養素でも一度に体へ入る量が大きく変わります。
この差が効いてくるのは、足りないときよりも摂りすぎたときです。通常の食事では超えることが難しい量でも、サプリだと簡単に超えてしまう栄養素があります。摂取量の目安は製品ごとに異なるため、製品の表示に従ってください。
不足している栄養素を補うのがサプリ本来の使い方
仕事や生活の事情により、食事だけで栄養素をまんべんなく充足させるのは難しいという方も多いでしょう。そうした場合に、不足している栄養素を含むサプリを食事の補助として摂取するのが、サプリの本来の使い方です。
髪に良い栄養素がどうしても不足しがちな方は、サプリで補うとよいでしょう。他の栄養素についても、不足しがちなものがあればサプリで補う選択肢があります。
- プロテイン(カゼイン・ホエイ・大豆)や各種アミノ酸
- オメガ3脂肪酸(DHA・EPAなど)
- 亜鉛、ビタミンD
鉄はこの一覧に入れていません。「鉄」の項目で書いた通り、男性では過剰側に振れやすく、血液検査で欠乏が確認された場合に医師の指示で補う栄養素だからです。
不足していない栄養素についてはサプリは不要です。特定の栄養素をたくさんとればとるほど髪が増える(髪質がよくなる)というようなことはありません。サプリの過剰摂取は通常の食品よりも副作用(過剰症)をもたらす危険性が高いので、とくに注意が必要です。
亜鉛サプリをどう考えるか
「髪の毛 サプリ 亜鉛」のように、亜鉛だけを取り出して調べる人は多くいます。亜鉛は毛包で行われる反応に関わる栄養素で、欠乏すると髪に影響が出ることが知られています。
ただしこれは、足りていない人が足りている状態に戻るという話であって、足りている人が上乗せしても同じことは起こりません。亜鉛にも摂りすぎたときの過剰症が知られているため、単体のサプリで長期間、多量に摂るのは避けてください。
男性と女性ではサプリの選び方が変わる
同じ「髪に良い栄養素」でも、男性と女性では気をつける点が違います。鉄は女性で不足しやすく、男性では過剰側に振れやすい栄養素です。市販の「髪用サプリ」には鉄を含む製品がありますが、男性が理由なく足す必要はありません。
自分に何が足りていないかは、思い込みではなく血液検査で確かめるのが確実です。
ノコギリヤシ・緑茶などの成分は、診療ガイドラインの治療の枠には入っていない
サプリのなかには、タンパク質やビタミンなどの一般的な栄養素ではなく、植物由来の特殊な成分を配合したものもあります。
薄毛への効果をうたう製品に配合される植物成分には、以下のようなものがあります。頭皮に塗布するローション(育毛剤)タイプの製品もあります。
| 成分 | 由来 | 研究で報告されていること |
|---|---|---|
| ノコギリヤシ | ヤシ科植物ノコギリヤシの果実のエキス | 19件のランダム化比較試験を統合した解析で、盲検下の医師評価スコアが対照より高かったと報告されている(毛髪密度では有意差なし) |
| パンプキンシードオイル | かぼちゃの種から作られる油 | 同じ解析で、毛髪密度を有意に改善したと報告されている数少ない成分のひとつ |
| エピガロカテキン | 緑茶の渋み成分 | ヒトの男性型脱毛症を対象とした検証はほとんどなく、報告は基礎研究が中心 |
これらの成分の効果を検証した研究は小規模なものが多く、医学的な根拠が十分に確立しているとは言えません。DHTを抑える働きが得られたとしても、AGAの進行を抑えるには不十分かもしれず、これらを使っている間にAGAが進行してしまう恐れもあります。
これらの成分については、AGA治療薬のように診療ガイドラインで推奨度が与えられているわけではありません。摂るとしても、治療の代わりや上乗せとして期待するのではなく、あくまで食品として捉えるのが実情に合っています。
食事・サプリで改善しない薄毛はどうすればいい?
- 自力ケアでは、薄毛の原因そのものを切り分けられない
- 薄毛は進行すると治療しにくくなるので、早めの受診が重要
- オンライン診療という選択肢
男性型・女性型脱毛症は、食生活の見直しやサプリだけで十分に改善することはほとんどありません。メディアではさまざまな自力ケアが紹介されますが、それらで確かめられることと、確かめられないことがあります。ここでは、食事の先にどんな選択肢があるのかを整理します。
自力ケアでは、薄毛の原因そのものを切り分けられない
頭皮マッサージやブラッシング、薬用シャンプーなど、自分で手軽にできる薄毛対策がメディアで盛んに紹介されていますが、これらで男性型脱毛症の原因に働きかけられるという医学的な根拠はありません。「頭皮が硬いと薄毛になる」「毛穴が皮脂などでつまると薄毛になる」といった誤った解説が付されているケースも多く、注意が必要です。
そもそも、自分の薄毛が男性型脱毛症なのか、栄養不足による休止期脱毛症なのか、別の脱毛症なのかは、自力では切り分けられません。
男性型脱毛症の根本的な原因は、遺伝的体質や加齢によりDHTの作用が強まることにあります。遺伝子そのものを治療する方法はまだないので、DHTの抑制が基本的な対策となります。その上で、毛包を活性化して育毛・発毛を図ることになります。
そのために、AGA治療では以下の薬が使われます。
- フィナステリドまたはデュタステリド(内服薬):5α還元酵素(テストステロンをDHTに変える酵素)の働きを阻害してDHTの合成を抑制(デュタステリドのほうが効果が高め)
- ミノキシジル外用薬:毛包の萎縮状態を改善して成長期を伸ばし、生え替わりを促す。日本皮膚科学会の診療ガイドライン2017年版は、推奨度A(行うよう強く勧める)に位置づけている
※ミノキシジルの内服薬も自由診療で使われることがありますが、同ガイドラインの推奨度はD(行うべきではない)で、動悸・息切れ・全身の多毛症など循環器系への負担が知られています。
女性型脱毛症の原因はまだ解明されていない点が多いですが、根本的な症状(毛包萎縮)は男性型と共通しており、ミノキシジル外用薬は女性型でも推奨度Aです。一方、フィナステリド・デュタステリドは女性型では推奨度Dで、男性型とは評価が逆になります。フィナステリドと似た作用を持つスピロノラクトンが使われることもありますが、薄毛の治療目的では国内で承認されていません。
ノコギリヤシなどの成分にDHTを抑える働きがあるという報告はありますが、診療ガイドラインで推奨度が与えられている治療は内服薬と外用薬で、これらの成分はその枠の外にあります。
薄毛は進行すると治療しにくくなるので、早めの受診が重要
男性型・女性型脱毛症は時間とともに進行します。AGA治療薬は薄毛があまり進行しないうちに開始したほうが改善率が高くなる傾向があります。進行した薄毛に対しては薬の効果がすぐ頭打ちになってしまい、あまり改善できないことが多いです。
薄毛が気になったら、できるだけ早期に受診して治療を始めるのが得策です。
オンライン診療という選択肢
男性型・女性型脱毛症の治療では、ビデオ通話で診察を受けて薬を自宅などに配送してもらう「オンライン診療」が普及しています。費用や手間、プライバシーの面で対面診療よりも負担が軽く、利用しやすいです。
肝機能障害がある方は、内服薬の服用のために定期的に血液検査を受ける必要があり、オンライン診療だけでは治療ができません。
髪に良い食べ物についてよくある質問
- 髪に良い食べ物を毎日食べていれば安心ですか?
- テレビ番組で「髪に良い」と紹介された食べ物は信用できますか?
- コンビニ食や外食が多いのですが、何から見直せばいいですか?
- プロテインをたくさん飲めば髪は増えますか?
- サプリを飲み始めたら、どのくらいで髪に変化が出ますか?
- 白髪や髪のパサつきも食事で変わりますか?
まとめ|髪に良いのはバランスのとれた食事。食事の役割は「足りない分を戻す」まで
髪に良い栄養素は「髪に必要」な栄養素ですが、「それだけあれば十分」というわけではありません。食事にできるのは、足りていない栄養を足りている状態に戻すところまでで、そこから先を食事に期待することはできません。
薄毛(男性型・女性型脱毛症)は栄養不足だけで発症するものではありませんが、栄養の欠乏や偏りがあると、発症や進行が早まる可能性があります。食事を整えることと、薄毛そのものへの対処は別の話で、気になる変化があるなら受診して原因を確かめるのが先になります。
※AGA治療は公的医療保険の対象外となる自由診療です。費用は全額自己負担で、クリニックごとに異なります。


